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大道 博行
レーザー研究, 31(11), p.698 - 706, 2003/11
現在、集光レーザー光強度10W/cmが達成されておりターゲット照射実験が活発に行われている。レーザーパルス幅を10フェムト秒程度にすることができれば、エネルギー1J程度で強度10W/cmが達成可能である。このレーザーのコヒーレントエネルギーがプラズマ中の電子の相対論的運動エネルギーに変換される過程を論文中で詳しく紹介している。この変換過程はレーザーのコヒーレンスを物質中のコヒーレントエネルギーに変換する過程とも解釈でき、電子はレーザー光伝播方向に集団加速される。発生する高エネルギーイオン,X線等にも指向性が生じる。相互作用を工夫するとエネルギー領域のスペクトルを狭くすることも可能であるとのシミュレーション結果もあり、アイデアを先鋭化させる必要がある。これらの結果は基礎科学に大きく貢献するのみならず、小型高繰り返し運転に支えられた産業利用への発展も示している。
福井 康太; 根本 正信; 谷本 健一; 照沼 誠一
PNC TN9410 95-041, 171 Pages, 1994/12
物質表面にレーザー光線を照射すると、表面物質を急速加熱し蒸散させることができる。この現象を用いると、放射性廃棄物の表面汚染層の除去、つまり除染技術への適用が可能である。従って、レーザー光による除染技術の開発を目的に、レーザー除染法に関する調査と、レーザーによる金属表面の除去試験を行い、デコミッショニングへの適用性を検討した。調査及び基礎試験の結果、次の結論を得た。(1)レーザー除染法に関する調査YAGレーザーやエキシマレーザーによる金属、コンクリート等の表面層除去に関する研究例がある。レーザー除染の対象物としては、炉内構造物、生体遮蔽壁、廃棄物貯蔵容器等が考えられる。(2)レーザーによる金属表面の除去試験ステンレス鋼試験片にパルスYAGレーザービームを線状集光し照射試験を行った。これによりHe雰囲気条件において、平均除去深さは照射レーザーエネルギー密度と照射パルス数の積に対しほぼ線型に増大することが明らかになった。レーザーエネルギー400mJ、試験片送り速度0.25mm/sの条件で、1m以上の除去深さが得られた。生成物の回収に関しては、開放型の極く簡便な吸引装置を用いても65%程度の捕集率が得られた。(3)今後の課題模擬試験片による表面除去特性評価、除去表面の健全性評価、大面積処理技術や生成物回収技術等に関する検討等を行い、除染技術への適用性について評価する必要がある。
松井 隆太郎; 福田 祐仁; 金崎 真聡; 榊 泰直; 岩田 夏弥*; 近藤 公伯; 岸本 泰明*
no journal, ,
クラスター媒質(クラスターと背景ガスで構成)と高強度レーザーとの相互作用によるイオン加速実験において、背景ガスイオンが加速されていることを示す実験結果が得られた。本研究では、この実験を模擬した2次元PICコードシミュレーションを行い、背景ガスイオンの加速メカニズムについて調べた。その結果、背景ガスイオンがクラスターのクーロン爆発電場により圧縮を受けて加速されることを見出した。また、イオンが、相対論効果による非等方なクーロン爆発電場を受けて、レーザー進行方向に加速されていることを示唆する結果も得られた。
松井 隆太郎; 福田 祐仁; 川人 大希*; 岸本 泰明*
no journal, ,
クラスター媒質(クラスターと背景ガスで構成)と高強度レーザーとの相互作用によるイオン加速実験において、クラスターのクーロン爆発が背景ガスイオンの加速に寄与していることを示す実験結果が得られた。本研究では、この実験を模擬した2次元粒子シミュレーションを行い、背景ガス存在下でのクラスターの膨張ダイナミックスについて調べた。その結果、クーロン爆発するクラスターと背景ガスの接触面近傍での荷電分離とそれによる電場形成がクラスター膨張の構造やダイナミックスに重要な役割を果たすことを明らかにした。
松井 隆太郎; 福田 祐仁; 川人 大希*; 岸本 泰明*
no journal, ,
最大集光強度が1.010 W/cmに達する高強度レーザーと、半径600 nmの水素クラスターターゲットとの相互作用を模擬する三次元PICシミュレーションを行い、得られるイオンのエネルギーについて調べた。その結果、クーロン爆発電場に加え、ローレンツ力の磁場成分JBにより前方へ加速された電子により、イオンを前方へ加速させるシース電場が形成され、これらの電場によりプロトンが前方へ約100MeVにまで加速されることを見いだした。この結果は、サブミクロンサイズの水素クラスターとJ-KAREN-Pレーザーを用いることで、100MeVに達するプロトンが得られることを示唆している。